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次世代燃料の開発に向けて(第2回)
海上輸送における個別の次世代燃料の開発動向について紹介する前に、次世代燃料開発に関するIMOをはじめとする国連機関や各国の取組について数回にわたって紹介する。
(1)持続可能な開発目標(SDGs)
「持続可能な開発目標(SDGs)」は、2000年9月にニューヨークで開催された国連ミレニアム・サミットで採択された国連ミレニアム宣言を基に2001年に策定された2015年を達成期限とする「ミレニアム開発目標(MDGs)」の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載のある、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標。
17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰ひとり取り残さない」ことを誓っている。SDGsは発展途上国、先進国が同様に取り組む普遍的なものであり、日本も積極的に取り組んでいる。
すべての国が行動する(普遍的)誰ひとりも取り残さない(包摂的)目標としている。
SDGsのなかで頻繁に使われている包摂的(Inclusive)とは、多種多様な価値観や考え方を全体組織の一部として受け入れ、違いを強みとして捉え、愛情、共感と相互のリスペクトにもとづき個人と組織全体のパフォーマンスの最大化を目指すことである。ここで言う違いとは、価値観や考え方だけではなく、国籍、人種、性別、年齢、学歴、宗教、ライフスタイル、障害の有無などあらゆるものを含む。
SDGsの17ゴールのなかのひとつである「13気候変動に具体的な対策を」は「持続可能な開発のための2030アジェンダ」のなかで宣言されている。
【13 気候変動に具体的な対策を】
・気候変動や環境破壊の脅威に対し断固として取り組む
・温室効果ガス削減を加速し、気候変動による負の影響に適応する
・世界平均気温の上昇を2℃または1.5℃以内に抑えるための道筋と2020年までの世界 全体の温室効果ガス削減対策の総和との間には深刻なギャップがある
・2015年12月の第21回条約国会合(パリ)を見据えて気候合意に取り組む
・気候変動枠組条約の下、法的合意形成を目指す
・緩和・適応・資金・技術開発・移転・能力構築・行動・支援・透明性
(2)パリ協定(2020年以降の枠組み)
2015年11月30日~12月13日、フランス・パリで開催された国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)において、史上初めてすべての国が参加する枠組として「パリ協定」(Paris Agreement)が採択され、2016年11月4日発効した。京都議定書は2020年までの枠組。
【パリ協定の概要】
・世界共通の長期目標として2℃目標の設定。1.5℃に抑える努力を追求すること
・主要排出国を含む全ての国が削減目標を5年ごとに提出・更新すること
・全ての国が共通かつ柔軟な方法で実施状況を報告し,レビューを受けること
・適応の長期目標の設定,各国の適応計画プロセスや行動の実施,適応報告書の提出と定期的更新
・イノベーションの重要性の位置付け
・5年ごとに世界全体としての実施状況を検討する仕組み(グローバル・ストックテイク)
・先進国による資金の提供。これに加えて,途上国も自主的に資金を提供すること
・二国間クレジット制度(JCM)も含めた市場メカニズムの活用
その実現のために、公平性と実効性を担保する工夫が行われている。
(次回に続く)
<参照>
1.持続可能な開発目標(SDGs):外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html
2.持続可能な開発のための2030アジェンダ:国連/外務省
英語 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/000101401.pdf
日本語 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/000101402.pdf
3.パリ協定:国連 UNFCCC
https://unfccc.int/process-and-meetings/the-paris-agreement/the-paris-agreement
https://unfccc.int/sites/default/files/english_paris_agreement.pdf
4.パリ協定 長期目標;外務省/経済産業省資源エネルギー庁
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ch/page1w_000119.html
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/ondankashoene/pariskyotei.html