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次世代燃料の開発に向けて(第4回)ICAO(国際民間航空機機関①)

2021.03.01

次世代燃料の開発に向けて(第3回)はこちら

 

国連気候変動枠組条約(UNFCCC)・パリ協定は国別貢献(NDCNationally Determined Contribution)を定めているが、国際航空と国際海運はその対象となっていない。京都議定書でそれぞれの国際機関であるICAO(国際民間航空機関:International Civil Aviation Organization)IMO(国際海事機関:International Maritime Organization)で検討することとされたからである。

世界の温室効果ガス総排出量に占める運輸部門のシェアは(2016年)16.2%とされる。内訳は道路交通部門11.9%、航空部門1.9%、海運部門1.7%となっている。

ICAO2010年 第37回総会で、温室効果ガス排出量の削減に関し「世界的な推進目標(Global Aspiration Goal)」を設定することを決定した。その目標は

  1. 2050年まで燃料効率を年平均2%改善
  2. 2020年以降温室効果ガスの総排出を増加させない

ICAOが各国政府によって構成される国際機関であるのに対し、IATAは民間航空会社からなる業界団体である。

IATA(国際航空運送協会:International Air Transport Association)は、ICAOの取り組みに対応し3つの具体的な行動計画を策定した。

  1. 2020年カーボン負担ゼロの成長
  2. 2009年から2020年まで、燃費効率年1.5%の向上
  3. 2050年までに2005年比CO2排出量50%の削減

ICAO2013年第38回総会で、その目標を達成するために4つの手段を採用した。

  1. 新技術の導入
  2. 運航方式の改善
  3. 代替燃料(SAFSustainable Aviation Fuel)の活用に向けた取り組み
  4. 市場メカニズムを活用した温室効果ガス削減制度の導入検討

ICAO2016年第39回総会で、市場メカニズムを国際航空分野への導入・活用方法について2021年以降はCO2排出量の増加をともなわない国際航空の成長スキームCORSIACarbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation)を採択し、GMBM(Global Market-Based Measures) を導入すると決定した。

GMBMは、今後増加すると見込まれる国際航空需要に起因する温室効果ガス発生に対し、排出権取引を適用することで、市場メカニズムを活用して温室効果ガスの削減をおこなうというものである。航空各社がCO2排出量を削減する代わりに、他社のカーボンオフセットプログラムに出資したり、国際航空以外の業態で増加したCO2排出量を購入し、航空という限られた分野のみでCO2の排出量を抑制するのではなく、地球環境全体で効率的にCO2削減を目指す、とされている。

空港からの排出量に関しては、国土交通省が20038月「エコエアポート・ガイドライン(初版)」を策定し空港運営にともなう環境負荷の低減を促進し、20143月「エコエアポート・ガイドライン(第3版)」を策定し、CO2削減目標にかかわる今後の配慮方針を示している。

出所:全日空WBSITEIATA資料から全日空が作成)

<参考>

国土交通省 航空局
https://www.mlit.go.jp/common/001027544.pdf

国土交通省 航空局CORSIA
https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/pdf/20181121/s20181109c.pdf

国土交通省 航空局 エコエアポート・ガイドライン(三訂版)
https://www.mlit.go.jp/koku/network/ecoair_guide01.html

日本宇宙工業会 
https://www.sjac.or.jp/common/pdf/kaihou/201606/20160609.pdf

交通経済研究所
https://www.itej.or.jp/assets/seika/jijyou/jijyou_2019_03.pdf

大和総研
https://www.dir.co.jp/report/research/capital-mkt/esg/20130618_007322.pdf

日本航空 
https://www.jal.com/ja/sustainability/environment/climate-action/

全日空
https://www.ana.co.jp/group/csr/environment/operating/

定期航空協会 
https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment/biojet/pdf/001_02_00.pdf

IATA
https://www.iata.org/en/programs/environment/climate-change/

VISUAL CAPITALIST
https://www.visualcapitalist.com/a-global-breakdown-of-greenhouse-gas-emissions-by-sector/

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